20221015

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10/13 幡ヶ谷


先月のMEDIA JEWELERジャパンツアーのキャンセルの件もあって、今回のPREGNANTも実際に会うまでずっとドキドキしていたのですが、10/11からの外国人入国要件の緩和も追い風となって、無事彼らが成田でヘラヘラしているポストをSNSで見た時には心からほっとしました。私や私たちのイベントのみならず、私経由で繋いだ各地のイベンター/バンド/会場の皆さんにまで影響が及んでしまうので、プロの呼び屋の人たちはこうしたストレスをほぼ日常的に食らってるんだろうなあ、と思います(おかげで素敵なイベントを観られています、ありがとうございます)。


10/13の昼下がりに無事入国の一報を聞いた後、リーダーのDanielから幡ヶ谷に泊まるので1杯飲まないか、というお誘いを受けて幡ヶ谷の太陽食堂で久々の再会&乾杯。ベースのBenは時差ボケ修正のために来ませんでしたが、他の3人は長距離フライト何それ?ってくらいのエネルギーに満ちた感じで、巻き込まれる感じで私も一杯目から泡盛を頼んだり苦手なハイボールを飲んだりとペースを乱しまくりました。こういうアテンドで食べ物を英語で説明するのを慣れてたはずなのに泡盛とホッピーはうまく伝えられませんでした。Okinawan soul liquidってとりあえず伝えて乾杯。


PREGNANTは会う度にメンバーも編成も違ったりしますが、Daniel、Benはそのまま、前回ギターだったANYOの鉄兵くんに似てるでお馴染みのLuisはシンセにコンバート、そしてドラムのNickは演奏を見るのは初めてですがUSツアーでは2018と今年Tシャツ作ってもらってるので基本全員面識があります。アメリカに比べ日本は煙草が圧倒的に安いらしく、普段吸わないLuisもガンガンに吸っていました。私は吸わないのでそもそもの日本の相場も知らず、昔に比べて高くなった、程度の知識しかないけど、アメリカのちょうど半額くらいらしいです。さらに円安がきてるから、そりゃ吸う…のかな。アングロサクソンのアルコール分解能に完敗した幡ヶ谷のモンゴロイドはお酒の飲みすぎで不幸せになりながらこの日は解散。



10/14 幡ヶ谷


ツアーとかでもないのに二日酔い。新曲も演奏するし仕切りとかやらなきゃだし、他のバンドのタスクも割とあるのに午前中ゾンビとなっていた間にも、SNSを見るとDanielとLuisが朝4時に起きて笹塚〜幡ヶ谷〜南台ゾーンを結構な雨の中ジョギングしてたり新宿のドンキホーテでエログッズ探したりと無限のバイタリティを見せつけられてライブまだやってないのにもう2敗した気持ち。なんならここ最近の私の謎の奢り癖で昨日の敗戦でお財布から福沢さんが1人消えていて、逆境の中今日のイベントを迎える事となりました。


PREGNANTが機材山盛りな気がしたので、フォレストのスペースを考えこの日はギターアンプのみを持ち込みのため、タクシーで搬入。私のベースマンは取っ手のところのネジが壊れてるため、そのくせキャリアーとか持ってないので(ある時なぜかこれを使ってコロコロしてるのは他のバンドマンと一緒だからやめようって謎の思考が働いて捨てた)、物販が入ってるでかいボストンバッグ+ギター、そしてアンプをお姫様抱っこをしながら運搬しないとならず、傍目にはいかにも困ってる人に見えたらしく通行人の人たちに大丈夫ですか?手伝いますか?って聞かれました。人の思いやりの気持ちに心温まりつつも腕のプルプルは誤魔化せず、今日難しいパッセージのフレーズの曲とか演奏する場合はこの時点で3敗が確定するところでした。危ない…。


会場に着いてサウンドチェックという名の新曲の練習。一昨日のリハでは成功率が20%くらいで、私は練習以上の演奏っていうのは出来ない派、淳平氏はライブだと予期せぬ奇跡が起こる派で、これは見ようによってはどっちもあると思うんですが、この日のサウンドチェックでも極めて怪しかったけどとりあえずやってみようということに。

ロードインは時間通りにちゃんと来てね!って言ったのにPREGNANTがなかなか姿を現さず。新宿でウヒョーってやってるInstagramの投稿を見てるし、mooolsが入り時間の一時間半くらい前に来てくれてたりしてて気まずい中早く来ないとギャラ減らします!とケツを叩いてようやく20分後くらいに到着。彼らの場合セッティングがかなり大変で音出しまでに時間がかかるので、各地の主催の皆さんはロードインを嘘ついて早く伝えた方がいいと思います。お気をつけください。

このイベントの宣伝時にPREGNANTをトイポップ/エレクトロ/ローファイ、みたいに書いてたのですが最新はLuisがArpとか使っていてこれまでの印象と大きく違うもっとドープな、そこにひとかけのポップネスを滴らしたようなサウンド。これも各地の皆さんお気をつけください(クオリティは超高いし、実際すごく良かったのですが)。

PREGNANTチームと早く着いたDJ Hatakeyama KJ、そして明日の仕切りの野口くん、あと何故か昔仕切ったイベントで出てもらったデトロイトのバンドThrowawayのKirstenが来日してて幡ヶ谷にいたのでそうしたとりとめのないメンバーで琉球酒場。サウンドチェックの終わったmooolsの酒井さんも合流し、メンバーに一貫性はないもののこの日のイベントを縦断する太い縁、グルーヴの根っこみたいなのが生まれてそのまま開演。

DJ Hatakeyama KJはこれまでは変なニューウェーブを旗印にしていた印象だったのですが、今回は自称70~80sレフトフィールドを中心にスピン。派手で、けど奇妙に静的な音に包まれてイベントが転がり始めます。

一番手はmoools。いつだってmooolsの音楽には驚かされるし心動かされるのですが、この日の音響は完璧でキックとベースの音がビタッと決まっていてアンサンブルが躍動するところとか最高に気持ちよかったです。音響触ってるナパーム片岡氏はロックミュージックに基本興味ないタイプと思うんですが、ジャンル以前に音単位でのスイートスポットを知ってるからこそのアレなんですかね?フォレスト自体のサウンドシステムもあると思うけど、音の渦に包まれる、でも痛いところがないから疲れない、バンドの魅力が余すところなく伝わる至極の音響体験でした。勿論ライブパフォーマンス自体も極上だったのはいうまでもありません。

2番手はルロウズ。今回とにかくPREGNANTのサポートに徹するためにあまり押し出してなかったのですが、タイミング的には堂々たるレコ発。主催イベントだしもっとそれをプッシュしてもよかったのですが、商売下手は一生治りません。ドラム3点とかギター弾かない曲とか最近やってるのは、そうした縛りの中でのアンサンブルの挑戦やツアーでのロードインロードアウトを楽にするっていうのに加えて、たとえボーカルマイクをJC-45につないでください、ドラムはエレドラでお願いします、音量制限あります、みたいな地獄みたいな音響のところでも確実に自分達の演奏の芯を届ける、ってのもあったのですが、mooolsのついさっきの演奏を見てしまうと機能的な自分達の演奏を省みるところがあります。なんていうか、ヘッドミュージックすぎないか?とか、何のための何なのか?みたいなところというか、主客転倒というか…。まあこれはそもそもの音楽性の違いとかもあるし、正解も別にないだろうし、やりたい事を貫く事の重要さとかもあるだろうし、そもそも考えすぎ/自意識過剰って気もするし、追々考えます。

1.MOB
2.鋏のあと
3.睡蓮
4.演じるサイン
5.アルマジロ(新曲)
6.ネガポジ(新曲)
7.ヘブン
8.バグとデバッグ

新曲はどちらもこの日が初演。アルマジロはこのテンポで音源通り演奏することが出来なくて諦めかけてましたが、じゃあドラムを叩くのをやめる、という思い切りの良いリアレンジをして演奏。結果怖い感じと、謎の新しい何かがトンネルの向こうに見える感じが出てきていて気に入ってます。
ネガポジは8割の出来。ネガポジ反転、とか並行世界、みたいなのを表現すべく、アウトロでメインリフとなってるキックのパターンを半拍ずらして、一方でスネアでオンタイムのパラディドルを入れて、ズレとかバグを整然としたリズムで表現。みたいな事をやってるのですが、これは難度の割に伝わらないですね。そして難度通りややミス。これはきちんと録音をして世に出してオーディエンスの耳馴染みを作ってからもう一度演奏したいところ。


トリはPREGNANT。サンプリングやループを多用しながらラリったBeckみたいなファンキーなサウンド。曲間を曖昧にして(音姫みたいなジャーって音が鳴ってるところがたぶん曲間と思われる)液状化した楽曲が次々と繰り広げられる感じで、フォレストの音響も手伝ってクラブのフィーリング。以前のガチャガチャしたローファイトイポップみたいな手触りも好きだったのですが、今はよりシリアスな感じで、これもすごくいいですね。完全にモードチェンジをしている感じです。他3人が忙しなく演奏をしている一方でベースのBenだけ気の向くままにぴょんぴょん跳ねたり音に身を委ねたりしている様子がすごくバンドぽくて、Danielがずっと相棒にBenを選んでいる理由が伺えます。アンコール前に演奏していた練習してなくて…って言ってた"She Noticed"って曲が個人的にはPREGNANTの代表曲と思ってて、最新のアレンジで聞けてそれもよかったです。

終演後は私財を投げ打って(奢り癖発動)ケバブを20個買ってフロアに投入しつつDJパーティ。PREGNANT好評で嬉しかったし、物販もすごく動いていて良かったです。奢り癖は止まらずいろんな人にお酒奢ったりしてたら最後にテキーラのショットを大々的に奢ってもらって引き分け。私は普段本当にお酒を飲まないのですが、5ビール2テキーラ2二階堂ロック(山盛り)2ウーロンハイ1ケバブで人間としての機能があらかた停止し、まあ幸い家までタクシーで5分の距離なので、往路同様人に心配される機材量を自分の中に残された最後の力を振り絞り搬出して帰宅。

  *

この日のライブでPREGNANTに感動した皆さん、それからこの記事を見て気になった皆さんは是非彼らのジャパンツアーをサポートしてください。会場に足を運んで、Instagramをフォローして、物販やBandcampの投げ銭などしてツアーバンドのヘルプをどうかお願いいたします。

10/15 大塚MEETS
10/16 名古屋stiffslack
10/18 大阪para-dice
10/19 京都GROWLY
10/20 山口Organ's Melody
10/21 小倉MHz
10/22 福岡UTERO

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danielispregnant