20221007

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本日『ÖKUMENE』リリースしました!

今回の作品のきっかけは野口くんのサポートと2022年USツアー。ドラマー山本淳平に家族が増えてバンドに暫く参加が出来なくなった際に、野口英律(MUSQIS)にサポートをしてもらい活動を続けることにしたのですが、淳平さんと野口くんはタイプが全く違うドラマーだったことと、少ないリハでライブに臨まなければいけなかったこともあり、だったら変に比較されない/出来ないくらいアレンジしちゃえっていうのが出発点でした。直線的でワイルドな野口くんのドラムを活かすべく、あと何となくステージで意味深な感じがあるだろうからっていうビジュアル的な理由だけで、直感でキックスネアハットの3点のみで演奏してみたら思いのほか可能性を感じられて、そこからリアレンジも弾みました。

イメージしてたのはライブの時のグレッグソーニア(deerhoof)。色々観た映像の中でもハットの代わりにライドを使ってる3点のセットでの演奏があって、それを真似したかったのですが、そこに当てはめるアレンジを考えるのが難しすぎたので汎用性の高いハイハットの3点にしました。ライドってあんなに音が伸びちゃうのな。




特にUSツアーとか毎日ライブと移動の日々の場合、機材が多いとロードイン/アウトが大変だし疲れるし喧嘩の原因になるからっていう怠惰な理由で3点セットが内輪でスマッシュヒット。ベースアンプもキャビ4発のものにしてたからおかげでレンタカーも今までのよりひとつ小さい車種でいけたし、いいことずくめでした。
その後は淳平さんドラムでも3点で色々演奏しています。今回はその流れを踏まえた作品となっており、今後また今の感じに飽きてタムやシンバルなど増やすかもしれませんが、3点の制約を全力で楽しむ、そこの可能性を押し拡げる、というのがひとつのテーマです。

音やビジョン、それからジーザスが機材を決めたんだ…、みたいに言った方が絶対かっこいいと思うのですが、ラクをしたいが最初に来て、そこから逆算でこういうスタイルになる、それはそれで、まあなんか、アリじゃないでしょうか?オーケストレーションっていうと大げさですが、キック、スネア、ハット、ベース、ギター、声×3、これらの組み合わせ、押し引き、レイヤー、を今まで以上に意識しながらアレンジをすることが出来るようになった気がします。




もうひとつのテーマはDIY。淳平家にプライベートスタジオがあり、そして私もちょっと良いオーディオインターフェイスなど機材を買い、とタイミングが揃ったので、実験と経費の節約も兼ねて自分達で完パケしてみることにしました。プロのエンジニアと違って時間の制約もないしジャッジが自分だから思い切りアヴァンギャルドな事も出来る自由を勝ち得ているのですが、変に保守的になってしまったりしますね。ただ勢いを殺さないようにしようと思って、録音からマスタリングまで3ヶ月で終えました。これまでの自分達の録音物のペースでいうと極めて早く出来たと思います。

今後ずっとDIYでいきたいかというと作品のベクトル次第なので何ともいえないし、最近折坂悠太に激ハマっている私としてはあれくらい良い音で録りたいなあ、という気持ちも湧いてるので次回は絢爛な音かもしれませんが、まだこれの可能性も突き詰めたく思っています。この環境やノウハウで他の人の録音をしてみたいってのもある。もしルロウズ新譜を聞いて興味があったらご連絡ください。

ジャケットはアルバカーキのEL REY THEATER。これ写真に撮った瞬間から何かに使いたいなと思っていました。ティーザーの映像は北ロサンゼルス。そしてMVは真心ブラザーズの天空パレードみたいなリリックビデオを作ろうと思って何故かこうなりました。