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未踏峰シリーズ最新作『MITOHOS III』Bandcampにて引き続き好評配信中!まだチェックしてない方は是非今すぐに聞いてみてください、NYPで無料ダウンロードも可能です。

これまでも参加アーティストのストーリーを紐解くために数度インタビューをさせて頂きましたが、今回もやります。個人的には第三弾をコンパイルするにあたってのいちばんのモチベーションとなったバンド(他のバンドがそうじゃないって意味じゃないですよ!念の為)、大分の奇跡、ネネカートです。リーダーの足立さんを中心にお話を伺いました。

https://deaftouch.bandcamp.com/album/mitohos-iii




__ネネカートはyoutubeなどでこそ音を見つけられますが今回のMITOHOSでの録音が初音源、webで検索をしてみてもインタビュー含めた情報がほぼ見つからず、海外の方はもとより、国内でもツアーバンドや九州在住の方以外にとっては超ミステリアスな存在と思います。改めて皆さんの結成から今に至る経緯を伺いたいです。



足立貴裕(以下A):高校に入ってギターを始め、その後大学の間まではカセットMTRを使っての宅録をしていたのですが、大学4年のときに
当時福岡で活動していたFIELDをタワレコのインストアライブでみて、本当に衝撃で自分でもバンドをやりたいと強く思うようになりました。大学時代はなぜか陶芸サークルに所属していたのですが、そこの後輩がバンドサークルにも所属していたので、その彼にドラムをお願いしてネネカートを結成しました。

それからしばらくはベースを含めた3ピースで活動していまして、現ネネカートのドラムであり、現ATHALLオーナーの河村さんとはちょうどこの頃に出会いました。当時河村さんが練習スタジオを始めたばかりの時で、練習に入った私たちがFIELDのコピーをしていたところ、河村さんもFIELDファンだったのでびっくりしたようです。練習後に声を掛けられ、そこからの付き合いです。



__FIELDが皆さんを繋げたのですね!興味深いお話です。



A:私自身それまでバンド経験がほぼ無かったので、最初のうちはスタジオやライブで大きな音を出すことが楽しくて、結構ガーっと歪ませた音楽をやっていましたが、あまりしっくりこなかったので、逆に隙間を生かせるような曲やアレンジにシフトチェンジしていった記憶があります。

程なく当初のドラムが大学卒業後に地元へ帰るという事になったのですが、ライブも決まっていたので、スタジオオーナーであった河村さんにライブ1回毎に寿司を奢るというサポート契約を持ち掛けて、現在までかなり長い事やってもらっています。ちなみにまだ一度も寿司を奢っていませんのでこの機会に一回行っておこうかと(笑) 



__(笑)



A:その後、プログレやカンタベリー系の音楽にも精通している稀有な女性キーボーディストを迎えての4人編成となり、ほぼほぼ今の音の感じとなったように思います。残念ながら程なく彼女が関東にお嫁にいくことになり、振り出しに戻ったかと思っていたところ、たまたまATHALLのホームページ上のメン募を見た現キーボードの矢野さんが加入してくれて今に至ります。

ベースについては、当初のメンバーが仕事でどんどん昇進しバンドどころではなくなってしまったので、色々な方にサポートをお願いしつつ活動してきました。ここ何年かはATHALL界隈で別バンドをしていた村川君にサポートしてもらっています。



__メンバーチェンジなど結構あったんですね、モチベーションを維持するのが色々と大変かとは思うのですが、そういった環境でも続ける原動力はどこにあったとお考えですか。



A:なかなか自発的にライブやイベントをするような感じでもないのですが、ちゃんと音源も作っていない我々をライブハウスやイベンターさんが呼んでくださるおかげでバンド活動が継続出来ている感じです。自分的にはちょうどいい感じのペースで活動出来ていますし、なにより楽しくバンドを続けられているのもメンバーや周りの方々のおかげなので、本当にありがたいなと思っています。



__先ほど、バンドを発展させていく中で隙間を大事にした曲やアレンジにおのずとなっていった、と仰られてましたが、現在創作のインスピレーションや楽曲の中で大事にしていることはどういったところでしょうか。



A:インスピレーションという程のものではないのですが、自宅でギターを弾いている時や運転中なんかに、ふと思いついたちょっとしたメロディやフレーズをスタジオでセッションしてみることから曲作りを始めています。ドラムの河村さんが単純なパターンではライブ後のお酒が美味しくないと言い張るので(笑)、普通の8ビートのようなシンプルなドラムパターンを自然と避けつつ、なんとなく形になってきたら私がそれを膨らませて曲として仕上げていっています。



__歌詞についてはいかがですか。



A:歌詞については、作曲時に適当な日本語英語みたいな言葉で作るのですが、最初に浮かんだ言葉のリズムや音を重視していまして、そこから離れないように言葉を当てはめていっている感じです。そんなスタイルなのですが、イメージが喚起されるような歌詞にしたいので、毎回かなり苦労しています。



__「Palm」はキャリア初録音という事でしたが、風通しの良いサウンドとナチュラルにプログレッシブな展開が印象的な、凄いクオリティの作品と思いました。録音のエピソードなどあればいただけませんか。



A:嬉しい感想をありがとうございます。自分たちの理想としているのがまさにそんな感じの音です。

録音に関しては、実はこれまで何度か自分たちで試みた事はあったのですが、全く納得のいく感じにならなくて、ここ5~6年は録音しようという気にもなっていませんでした。 
そんな折、ありがたい事に今回のお話をいただいたのですが、私個人としては全く自信がなかったのでお断りしようかと(笑)。



__そうだったんですね…!結果OKを頂けて良かったです。



A:一応メンバーに確認してみると、やるしかないでしょとの事で後押しされて、ATHALLでPAをしている上野良介君に録音をお願いし無事完成させる事が出来ました。上野君自身もバンドをしていますし、人間性も素晴らしいので、こちらの意図をスムーズに汲み取ってもらえて本当に助かりました。

あと、普段は4人で演奏出来る範囲でのアレンジしか考えていなかったので、録音となるとコーラスや他の楽器なんかを色々と重ねることが出来て、今更ながら録音って素晴らしいなと(笑)。そんな感じで、録り直しも含めて思いつくままに録音させて貰ったので、トラック数が膨らんだ上に、ミックスも色々と注文をさせてもらって、上野君は大変だったかと思います。

これまで音源が無い事を周囲の方々から色々と言われていたのですが、今回の企画に誘っていただいたおかげで、とりあえず最低限のノルマは果たせたかなと思っています(笑)



__ドラム河村さんはATHALLというライブハウスを運営されており、これまでMITOHOSに参加してもらったたくさんのアーティストよりも一層、大分、という活動場所についての意識をすることがあるのではと思います。ツアーバンドを迎えたり、ローカルのミュージシャンをピックアップしたりと交流をする中で、大分のシーンの特異性について考えられることはありますか、またそこからのフィードバックなどは感じられますか。



河村浩:大分のライブハウスの中ではATHALLは新参者だったころもあり、そこそこ全方位に門戸を開いていたところ、他のライブハウスには出ない(出させてもらえない?)先鋭的なミュージシャンやアーティストの先達と仲良くさせてもらい、その方たちの国内、国外とのパイプをそのまま引き継がせていただいたようなところはありますし、客観的に見て、大分の中では異色だろうなという自覚もあります。



__もともと大らかに伸び伸びと活動されている印象でしたが、曲もたくさんあると伺っていました。となると次はアルバムのレコーディングでしょうか?2022年の展望を教えてほしいです。



A:実は今回のMITOHOS用の録音が終わった後、別の曲を1曲レコーディングする機会がありまして、録音の楽しさがわかってきたところです。

この流れに乗ってアルバムレコーディング、と言いたいところですが、なにかと日々の生活に追われていますので(笑)、とりあえず楽しみながら少しずつでもレコーディングをしていきたいなと思っています。

あと、昨年は時節柄なかなかライブが出来なかったので、今年はもう少しライブがしたいなと。個人的に、ライブはもとより、ライブ後の打ち上げが好きなのもありますので(笑)。



__全く同感です…!
 最後に、皆さんにとってのオールタイムベスト5を伺いたいです。




足立
貴裕(Vo/Gt): 

The Beatles 「Abbey Road」
Neil Young 「After the Gold Rush」
Beach Boys 「Pet Sounds」
Jim O'Rourke 「Eureka」
The Sea and Cake 「Oui」



矢野晶子(Kb/Vo):

Blossom Dearie 「Blossom Dearie Sings」
Belle and Sebastian 「The Life Pursuit」
Wilco 「Sky Blue Sky」
The High Llamas 「Gideon Gaye」
Chara 「Secret Garden」



河村
(Drサポート):

King Crimson 「USA」
moonriders 「Don't Trust Over Thirty」
The Stone Roses 「The Stone Roses」
Brian Eno 「Ambient 1: Music for Airports」
The Shaggs 「Philosophy of the world」



村川悠磨(Baサポート):

The Cardigans 「Life」
Carole King 「Tapestry」
Chet Baker 「Chet Baker Sings」
Elliott Smith「XO」
Todd Rundgren 「Something/Anything?」