20210915

704(MITOHOS II インタビュー③YOLZ IN THE SKY)

 

"MITOHOS II"発売から2ヶ月、ロングテールでDLされてます。DEAF TOUCH RECORDSでは本日GLDN、PAKK、US:WEの日韓台3組によるスプリットのリリースが。レーベルメイトとしてカタログが賑やかになっていくことがとても嬉しいです。

さて、更新頻度は少ないですがMITOHOSインタビュー続きます。今回は大阪のリアルオルタナティブ、YOLZ IN THE SKYよりボーカルのマギー氏に回答を頂いてます。まさかのオリジナルメンバーでのカルテット編成復活からバンドの頭脳であった柴田健太郎(gt)の脱退まで、ここ数年公式で言葉が残っていなかった部分の空白を繋ぐ貴重なインタビューではないでしょうか(当社比)。



__私は初期の4人編成の頃から、3人になり、2人になり、そして4人に戻り、ってところまで一通り全ての編成でのYOLZ IN THE SKYのライブを幸運にも見られています。私としてはギターの柴田さんとの2人編成の頃の音楽性から4人に戻った時に一回初期のサウンドに回帰したのが、そして今回3人編成での初音源が生楽器の使用の少ないサウンドに再びなっていたのが非常に印象的でした。元々はギターとドラムから曲を組み立てる、と聞いていたのですが、現在3人編成ではどういうアプローチで作曲をしているのでしょうか。


マギー:柴田の脱退はとんでもなく大きい影響です。柴田が抜けてからしばらくの期間は特に曲も作らず何をするわけでもなく3人で集まっていました。室田(Ba)と平瀬(Dr)は大体がよくわからないことでヘラヘラして過ごしてるんですけど
そのうち平瀬が"こんなドラム考えたよ〜"とか、室田が"ではベースはこんな感じでどうかな?"とか、そのうち平瀬が丸々1曲作ってきたり、室田が丸々1曲作ってきたり、それらの曲の部分部分を使って新しい曲になったり、3人になってからは決まった作り方がない形で曲を作っています。
こういうところは今までになかった変化した部分だと思います。


__試行錯誤をしながら新しいヨルズを作っているんですね。


マギー:現在の3人編成では先ほどのとても変化した部分もあるんですが、一方であまり変わってない部分もあります。それぞれがフレーズを考えて、組み合わせて変化させてというところを継続しているところです。軸となる部分を一旦決めて、みんなの感覚で一歩一歩作っています。

『MITOHOS Ⅱ』での「Ooh」は生楽器の無い曲ですが、生楽器のみを使う曲もあったり色々試しながら作っています。


__2003年結成なので、ちょっと気は早いですがもうすぐ活動開始20年です。外野の人間としてヨルズインザスカイに結成当初から一貫して感じるのは群れない姿勢、そしてサウンドの変化を恐れず、むしろ積極的に飛び込むオープンマインドですが、マギーさん個人としてこのバンドで変わらず大事にしている部分、それから考え方が変わった部分があればそれぞれ聞かせてもらえませんか。


マギー:ずっと変わらず大事にしている部分はバンドを始めた時の感覚です。

それはメンバーと音を出すだけでワクワクするとか、みんなの色んな異なる考えが合わさって曲として形ができていくことに夢中になるとか、その曲を演奏したり録音したり聴いたりして自分で感動して、人に聴いてもらいたくなったり、そんなところです。

変わった部分はElektro Guzzi(オーストリア・ウィーンのバンドでギター、ベース、ドラムでテクノを演奏する3人組)の作品に参加させてもらったり、Limited Express(has gone?)のライブのステージに出演させてもらったりなど、YOLZ IN THE SKY以外のこともやってみようと考えるようになったところです。

考え方が変わったことに特にきっかけもなく、単純に"面白そうかも"と感じることはどんどんやりたいと思ったからです。


__春頃に私がコンピへの参加を打診して、ご快諾頂いてからしばらくして柴田さんの脱退の話と改めて3人編成での参加について伺いました。コンピへの参加曲「Ooh」は時系列でいうと4人の頃から出来ていた作品なのでしょうか?今回の録音にまつわるエピソードなど含めて教えて頂けると嬉しいです。


マギー:「Ooh」 は去年末に柴田が抜けて3人になってからの曲です。新しくできた曲たちの中から選んだ1曲です。

声の録音と曲のMIXは荻野真也くん(サウンドエンジニア)にお願いしました。
彼は赤倉さんと同じようにYOLZ IN THE SKYの4人→3人→2人→4人の全ての編成の音とメンバーそれぞれの事を昔からよく知ってくれているので、今回の新しい編成での初音源にぜひお願いしたいなと思いました。
柴田との2人編成の時のライブでは彼がP.Aの時もあったり声の録音をしてもらうこともありました。ElektroGuzziの作品の参加時に声の録音をしてもらったりもしています。


__マギーさん個人としても現在SAOLA101というプロジェクトをUxDxN氏とやっていたり、先ほどお話が出ていたElektro Guzziへの音源参加があったりと、バンドと並行して活動してらっしゃいます。それぞれバンドとはアプローチを変えていますか、それとも天然でぶつかっていく感じなのでしょうか。


マギー:アプローチとか天然とか特に何も意識していなかったですが、言われてみると全体に対して自分はどういたらいいのかなと考えたりします。

人と会話する時に組み合わせや場面によって、"もう少し話したいな"とか"もっと聞いていたいな"とか"沈黙も心地良いな"とか"黙らざるをえないな"とか、そんな感じに近いかもしれないです。

でも、わからないです。はっきりとした区分けはしていないです。


__カットアップされたようなマギーさんのリリックのインスピレーションはどこにあるのでしょうか、また響きや意味など、大事にしているのはどこですか。


マギー:デペイズマンの要素が大きいのかなと思います。カットアップされたようなところもありますね。

今ぼくは京都に住んでいて、鴨川という京都市内を南北に流れる川沿をよく歩くんです。で、季節・曜日・昼夜問わず、いつも鴨川沿いには川に向かって色んな人が座っています。あらゆる年齢・性別・人種・ルックスの様々な人が、1人だったり複数だったり、色んな組み合わせで川に向かって座っています。

その人たちの横を川の流れと逆の方向にいつも歩くんですけど、色んな人たちの色んな会話の断片が聞こえてきます。その聴こえてくる言葉とその時の季節や気温や気圧や聴き手としての自分の体調が相まって、断片たちに刺激を感じ始めるんです。

その感じ方に正解も間違いも無く、良いも悪いも無く、好きでもいいし嫌いでもいいし無感動でも無関心でもいい。

で、"今日も散々たくさん歩いたけどどこにも辿り着かなかったなー"と、感じながら家に帰ったり帰らなかったりする。そんな感じがとても好きなので、断片的な、どこかカットアップされたようなものにつながっているのかもしれないなと思いました。


__直接的なテーマというよりは、巨大なムードや空気感、そうした抽象的なものからインスパイアされるということなんでしょうか。


マギー:こどもの頃から人に対して何かを言うことが好きじゃなくて、人に何かを伝えたい欲求もあまり無く、でも人に混ざりたい気持ちはあって、ただ違和感はあるみたいな、それがどこか関係しているような気もします。


__ライブ活動など難しい昨今ですが、最新編成であるトリオのヨルズとしての今後はどういう予定なのでしょうか。スタジオ録音など期待していいのでしょうか。今後出したい音のイメージや活動のビジョンがあれば言える範囲でいいので教えてください。


マギー:ライブを中心に活動していきます。もちろんスタジオ録音もしていきますし、新しい作品の発表もしたいです。

曲を作ってステージで演奏するっていう本当に普通の事なんですけど、それがやりたいです。


__自身にとってのオールタイムベスト5枚を教えてください。


マギー:
Billy Elliot(リトルダンサー)
Clash / the clash
Give'em Enough Rope / the clash
London calling / the clash
Sandinista / the clash