ルロウズ新譜ミックス③
どんどんミックスは進みます。いつも思うのはイメージのサウンドを作るのにまあまあ時間がかかる場合、それが割と全体の聴感に影響を与える場合、そしてそれが「それも一択」みたいな感じで正解かどうかぱっと判断がつかない場合、音楽の神みたいな存在に「そっちだよ」と正解をジャッジをして欲しいということ。そういう意味で信頼出来るプロデューサーが欲しいなあと思う部分と、合理的でない/無意味なトマソンアレンジこそ大事にしたいバンドの皮膚感と衝突するんだろうなあと思う部分。けどいつか○○プロデュースでやってみたいですね。天才の場合は主観100%、どころか120%とかでいいと思うのですが、こじらせ系サウンドの私たちの音に客観は大事と我ながら思います。
この日からトリオのみの音の楽曲に着手。まずは「御盾(My Shield)」。トリオでじゅうぶん演奏出来る曲ですがあまりライブでもやってないと思います。パトリオティックなタイトルですがほぼ語感のみで名付けたので深い意味はありません。多分。この曲はリフっぽい構造を元に割と狙って作った感じのあるロックチューンで、ツェッペリンのブラックドッグ中盤みたいなズッシリしたリズムの絡みの部分と永遠の詩みたいにスパートするグルーヴの部分と、カシミールみたいに寡黙に迫る部分を混ぜた、ルロウズで最近あまりやってなかったリズムフィギュアが色々変わる曲です。以前は幕の内弁当みたいで1曲中でころころ変わるのが好きだったのですが、いつしかそういうのに照れるようになってしまい基本ワングルーヴがかっこいい/そこをうまく展開させる方がセンスを試される感じがあって好みになってたところでした。開き直ってやってみると、まあこれはこれでいいですね。この曲のオーダーは「俺のギターを聴いてくれ」。今回ギターは久恒氏の提案でアンプにアンビエントを2本違う位置に立ててスティーヴアルビニふうの存在感あるサウンドを狙ったのですが、その効果がいちばん出てるのがこの曲かも。またベースを上田氏史上屈指のギャリンギャリンな感じの音にしたことによってオフェンシブなサウンドにまとまりました。
そしてライブではお馴染みの「Doppelgänger」(マック買ったばかりなのですがウムラウト出すやり方がまだわからない)。Studio Zotはセパレートしたブースがなく、ドラムに被りたくない私としてはリアンプに頼らず後録りでギターを録ったのですが、この曲終盤のクリックのなくなるパートのオーバーダブは10年一緒にやってる杵柄で波形を見ずに直感のみで合わせました(その感じを是非聴いてほしいし、そこに拍手してほしい)。今回ベーシック録ったもののボツにした「ポラリス」という曲は完全フリーなので試して諦めたのですが、あの曲に関してはブース環境があるレコーディングが出来る時に改めてやります。先に触れた「御盾」と違いこの曲はいろいろな展開が出る割にほぼワングルーヴで、じょじょに煽っていく構造になっており、この曲はドラムの録り音の時点でかなり完成形が見えており、ロウな質感が堪りません。ライブでの推し曲は得てして録音するとそうでもない感じになるのですが、この曲は現状とても良さそうです。
各曲の微調整はまだですがいちおうここまででイメージ7曲中5.5曲くらい仕上がってる体感。さらに次のアルバムのアイデアも早く形にしたいので、スピード感を持って仕上げていきます!