20201012

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Bandcampでリリースしたキャリア初となるライブ盤ÖKUMENE​/​ANÖKUME、もう聴いて頂けましたか?既にお求め頂いた皆さんありがとうございます、未聴の方は是非チェックしてみてください。今回は各曲のメモ。チェックしながら読んでもらうとより面白く聴いて頂ける、かもしれません…!

1.鋏のあと(Trace)
元々は1stアルバム『CREOLES』に収録されていたノイズロック風作品。中学生の頃からギターヒーローに憧れがあった私としてはザックワイルドでいうペンタトニック、ピートタウンゼントでいうウインドミル奏法、みたいなシグネチャープレイがずっとほしいなあと思ってたのですが、アーミングが、ってところでジミヘンとかブラッドギルスとか偉大なるパイセンたちの末席に恐る恐る混ぜて頂けませんでしょうか…?そうした淡い片思いと、液状グリッドが混ざった不思議なアヴァンパンク。

2.折鶴(Papercrane)
シーケンスパターンは元々は上田氏に演奏してもらっていたのですが、リハでこの曲に触れる度に彼の顔がどんどん土気色になっていっていたので最終的にはまさかのiphone7が演奏。このアレンジに落ち着くまで凄く時間がかかり幾度もリライトして苦労しまくった、かつ演奏の難しい曲なので思い入れ自体はありますが、ライブ映えあまりしないため今後演奏の機会はほぼないという非業の曲。ビートとしてはトラップやアブストラクトR&Bを誤訳した感じにしたような。

3.It's (Not) Gonna Happen
folk enoughを初めて見たとき「退屈を恐れない」というアレンジに価値観が揺さぶられるほど衝撃を受けたのですが、所謂グランジのラウド-クワイエット-ラウドみたいなやつを曲単位でやってみようと思った曲。5秒で作ったリフ、8秒で書いた歌詞、1秒で決めたタイトル、全く意味のないコール&レスポンス。何気に演奏が難しい曲です。

4.演じるサイン(Perform/Sign)
リフは偉大。凄く小さい音とまあまあ小さい音だけで演奏をすると音を自分たちが制御している、という感じがすごくあってとても良いです。あとトレモロも偉大。

5.睡蓮(Waterlily)
ライブ映えするアレンジを目指したのですがやってみるといつも案外フロアが死んでる曲。4拍~4拍5連のフィールで揺れるグルーヴと水滴の零れるようなギター。私の中でシューマン進行と呼ぶ解決感のない/言い切り感のない旋律。ストラトの、リアの、クリーントーンって特に私のはヴィンテージ系のピックアップなのでキンキンしてて一生使わないと思ってたのですが手元でボリューム調整してやるといいもんですね。

6.かりずまい(Temporary)
新曲。1曲くらいこういうのがあってもいいかなと思って書いた小品です。このアレンジはデモのまま、歌詞は実はもともとドイツ/カナダのSea Moyaってバンドのトラックのために書いた、しかも歌ったリリックなんですが向こうでリリースされる気配がないので先に使いました(ここをご覧のSEA MOYA関係者の方はご連絡お待ちしてます)。

7.ポラリス(Polaris)
新曲。今回の新曲群の中でいちばん自由度が高くて演奏していて楽しい曲、なぜならミスタッチとかを気にしなくていいから…。私の拗れた31KNOTSへの愛を供養する曲で、タッピングという表現を使って素直にかっこいいと思えるのは後にも先にも彼らだけです。当初はもっとカッチリしたビートでのアレンジを志したのですがまとまらず、ヤケクソになってやったフリーぽいアレンジが案外意味深な感じもあり全体の中でアクセントにもなっていたので採用。歌詞もアレンジも気に入っていてスタジオ盤を作りたいのですがポストプロダクションの余地が少なそうで(しかも手を加えると良くなくなりそうで)悩んでます。本作ハイライト。

8.Mob
新曲。この曲やM6,M12は全体の楽曲群のバランス感から逆算して作りました。そういう作り方が出来るようになったのは成長なのか、それとも誠意のない方法なのか。いずれにせよ普段はやらないようなエレクトロパンク風味のアレンジに着地させられました。この曲もM3同様「退屈」の属性にするため敢えて展開を徹底的になくしてますが、きちんと録音すればDJとかで使用出来そうですよね。
この曲のみベースを後付けで歪ませたり、声にエフェクトをかけたり、積極的にリミックスしてます。

9.Q.E.D.
新曲。シンプルぽいけど不思議に歪な構造をしているっていうのを目指した曲で歌やオケの譜割りが特殊です。そしてそれをTHE WHOのように天真爛漫な感じで演奏するっていうテーマ。ルロウズの曲で殆どないメジャー進行の曲です。これもきちんと、スタックアンプ段積みみたいな環境で録音したいなあ…。

10.招待の無い(Unwelcomed)
新曲。この曲はだいぶアレンジに時間を使ったのですがまだもっといじれそうですね。アシッドを浴びたロックンロールの残骸みたいなアレンジにしたかったのですが、振り返るとちょっと頭でっかちになっている気がします。言葉遊びをしたくて色々頑張りました、歌詞にプライドの番人ゲイリーグッドリッジって出てくる曲って日本では他にないと思いますが、それはまあそうでしょうね。

11.エンドロール(Credit Roll)
新曲。この曲の立ち位置は難しい。普通ぽい感じを逆張りで狙ったわけでもなく、しれっとこんな感じに着地してました。この辺で疲れてきてギターソロ部分がやりたかったことの20%くらいしか演奏出来なかったこととライブで最後にやった「訪れを」が失敗してこのアルバムから泣く泣くカットしたのが本ライブ2個の心残りです。全体の流れの中で聴くとどうなんでしょうか?前後関係的に意味深に聞こえるのかな?それともアレンジ不足に聞こえるのかな?未だ客観的になれないです。

12.ドア(Door)
新曲。シドバレットのゴールデン・ヘアという曲へのオマージュ。夢の入り口、みたいな、彼岸と此岸、みたいな、そういうのが好きです。この曲はコーラスが命だったのですが山本氏のマイキングの関係であまりハーモニーを引き出せず。ということでこれもスタジオ録音でリベンジしたいなあと考えるのです。

13.クーデター(Coup)
やはりこの曲こそが当プロジェクトの根本にして本丸、それまで自分たちで作ってきた方法論と全部において違うことに挑戦出来ている/新しい音を作ることに成功しているっていう意味でマイルストーン。酔っぱらったドラム、よちよちついてくるベース、トーン0+アーミングだけでスケッチするギター。

録音はFORESTLIMITの音鬼ことナパーム片岡氏。この時の録音環境なのですがライブレコーディングに一般的なライン+エア、だけでなくサラウンドのスピーカーをモニターに使って積極的に擬似立体音響を作ってそれも混ぜてもらいました。凄く楽しかったのでレコーディングにFORESTLIMITを使うの、すごくアリだと思いました!