20190323

593(16日目)

3/21Sebastopol→Sacramento(100マイル)
曇り。Anthonyが早めに家を出るんだということでそこに合わせて6:30に起床。やればできる。出発時最寄りに開いているグロッサリーがなかったためとりあえずSacramentoに向かう事にしました。今日のハウスショーは早め開演、こちらではearly showと言うみたいですが、とはいえ東京の通常のライブイベントとほぼ同じ感じの6:15pm開演、入り時間に至っては5pmとかなので2時間くらいで着いちゃうと優等生すぎ早すぎというか怖いくらいになっちゃうので先日も、前回も助けてもらいまくったGentleman surferZackの家に少し居させてもらえないか相談のつもりがWi-Fiがない。

往路も目を奪われた美しい田園風景はゲーム"サイレン"レベルの霧の中に押し黙っていて、それがまた幻想的でナパやソノマを抜けた辺りでドラマチックに霧が晴れていく感じも素敵でした。この辺りは旅人におススメ!

道中で発見したWalmartWi-Fiタイム、そして初マクドナルド。前回ツアー時もイメージほどそんなに頻繁には食べなかったハンバーガーでしたが結局通算でも初。簡単に見える注文に何故か手間取りハンバーガー2個とデカいコーヒーを呆けた顔で受け取るアジアンその1になってしまいました。もちろん味はユニバーサル味。

Zackから今日から5日間オフで無敵だからおいで!と言ってもらえたので朝10時にSacramentoの中心部からちょっとだけ下、高速降りて1秒のところにあるZack 宅に到着。JordanTaylorなど知った顔の他にコロラドからやってきたカップル、あとよくわからない女の人とかもいてみんなハングアウトしててさながらギルドのよう。この頃には気温もぐんぐん上がっていて快晴になっていて、めちゃくちゃ木曜で平日だけどウィークエンドの優しい感じが家中に満ちてました。前回ハウスショーの会場だったガレージを今Zack達はプライベートスタジオ化しようとしてるみたいで、既にTaylorはソロ音源をずっと録音中。聴かせてもらいましたがなんていうかフィオナアップルが発狂してプログレ化したような、ロナルドブルーナーJrがグランジ化したような、コードプログレッションの複雑なロックミュージックで素敵でした。TaylorMeet Cuteというバンドではドラムでしたが(金属バットをカウベルの代わりに使用)今は歌からギターから録音ミックスまで全部1人でやっちゃう才人。相変わらずイケメンなのに服装ヘンテコだけど

ひなたぼっこをしたりWi-Fi環境で必要な人たちに連絡を取ったりウトウトしたりピザを焼いたりお風呂こっそり入ったりトイレこっそり詰まらせたり身体と精神のメンテナンスをゆっくりとしてたらぼちぼち出発の時間。会場のPregnantのドラムDevin宅もまあまあ近い感じだったしついでにZackに教えてもらった楽器店Skip's Music、それからお馴染みGuitar Centerで物色。Guitar Centerでここまででいちばんオッと思うギターに出会うものの微妙に踏ん切りがつかず、メンバーの2人からも「こいつは買う買う言ってるだけのポーザーだ」という目で見られ始めてる気がしだしてます。すいません。安いユーズドギターはフレットの処理が甘いやつか電気系が危ないやつか色が地獄なやつが多くてて言い訳してる時点でダメですね。なまじSamから借りてるギターに問題がないものですいません。

この日の会場D St House、まあ要はDevinの家なんですが、やはり広いバックヤードで焚き火も出来る地下のライブスペースに至る階段だけ謎の炭鉱感がある狭さで搬出入が地獄でしたが体感80100人が来ちゃうパーティ!以前来日時にうちに泊めてすいませんでした。

最初のPregnantは圧巻!ハウスショーとは思えないクリアなローエンドの音響、そしてバンドがマシンビートと一体となってロールする迫力、見るたびに惚れ惚れします。カラフルでダイナミックなサウンド、チャーミングな意匠、Devinのドラムのトーンとセンス。満員のフロアも爆発してました。

パフォーマー2組を挟んでルロウズ。12日とは少しセットを変えて演奏しました。ベースのキャビネットを絶対搬入できなそうだったので会場にある適当なやつを直前に貸してもらって5秒でサウンドチェックして即演奏。我々全員このok/ngを見極める瞬発力、鈍感力、場合によってはこれ以上トーン攻めるの無理だからあとはミュージシャンシップでカバーしちゃえって損切り力、が上がるのはいいことなんですが細かく突き詰める好奇心/集中力みたいなのが相対的に下がってる気もしなくもない日本に帰ってからそこはまた育てます。演奏は最高でおそらくつぎのPlum Andersonファンであろうティーンの子に泣きながらハグされたり、バンド始めますって言われたり、ベイエリア全部追いかけますって言われたりと最上級の褒め言葉その1~その3を頂きました。

Plum Andersonはシティポップ、フュージョン、インディロック、ニューウェーブの要素が複雑に絡み合った、ありそうで微妙にない音。ツェッペリンみたいな見た目のSuedeA-haをジャミロクワイのトラックでモリッシー的伸びやかさで歌ってる感じをご想像ください。たぶん誤解しますが。リーダーは18歳(!)年齢と音を直結させるのは良くないと思いつつこのスキルとセンスは凄すぎる。会場がダンスフロアと化す最高のライブでした。

トリのGentleman Surferはプログレという枠をとうに飛び超えてトランス、ハードコア、テクノとかに迫るボディミュージック化。ドラムのJonの演奏はとにかく痛快でバシッ、ピタッと決まるプログレの気持ちよさもありながらパワーやトーン、パフォーマンスが素晴らしくてとにかくバンドを煽りまくる!打音のデカさ、バランスも抜群でLightning BoltとかHellaとかの系譜に連なる変型ハードコアって言った方が日本の人たちに届くのではないでしょうか。スーパー変拍子だけど一拍目を聞き手に探させるめんどくささがないというか、どこのパルスを捉えて適当に踊っても全然okというか。


お酒を飲んでより幸せなう(飲まなくても幸せですから)状態に突入しつつ終演後は多少談笑しつつ割とアッサリとZack家へ戻り。またご飯を食べそびれてしまった。ベルト穴も順調に2個くらい細くなりつつ満面の笑みで撃沈。毎日かけがえのない時間を過ごしているし全て最高だしダメな瞬間すらチャーミングで愛おしくもあるから軽々しく比較は出来ないけど、今日のは死ぬ前の走馬灯ランキングに入ってくる1日!この3人でこの音楽をこのオーディエンスにこのタイミングでこのラインナップで届けることができて、なんというかありがとうございます。どんな一日もifひとつで壊れちゃう、いくつもの奇跡の果てに、やっとこ、ギリギリの按配で、かろうじて成立している。